「生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由がある」を読んで、大阪の投票行動と地域性の関係について考えた

生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由がある コラム

参院選の結果(参院選投票率、戦後2番目の低さ 朝日集計48.80%:朝日新聞デジタル|2019年7月22日)を受けて「大阪在住で選挙権を持っているけれど選挙に行かなかった人たちは、消費税があがっても戦争することになっても文句は言いませんってことやんな?」とツイートしたところ、大学の2年先輩である天野さんからこんなコメントがありました。

カノさんやから、あえて書くけど。一冊本を紹介させて欲しい。

「行き心地の良い街」って自殺希少地域を取材した本。この中に、投票行動と、自己効用感に関する話があります。

投票に行かない人は行かないなりに理由があって、それはその地域の問題を映す鏡かもしれない。

このコメントをうけてさっそく東大阪の図書館にある本を中之島の図書館で取り寄せて読んでみました。

自殺希少地域を取材した本・岡檀さん著「生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある」講談社

午前中に朝食を食べながらチラッと読んでみたところ引き込まれて止まらなくなり、3〜4時間で読み終えました。著者である岡檀さんが書いた論文をルポ風にまとめた本なのですが、なぜ徳島県海部町の自殺率が低いのか、まちに入り、検証に向かうプロセスが名探偵のように鮮やかに解き明かされてゆくのです。

自殺率の低いまちには、5つの自殺予防因子があった

興味深かったのは第2章で語られる5つの自殺予防因子です。

・いろんな人がいてもよい、いろんな人がいたほうがよい

・人物本位主義をつらぬく

・どうせ自分なんて、と考えない

・「病」は市に出せ

・ゆるやかにつながる

徳島県・海部町に現存する江戸時代発祥の相互扶助組織「朋輩組」の存在や、年長者だからと言って威張らないこと、主体的に社会や政治に関わる人が多い理由が、多くの移住者によって発展してきた地縁血縁のうすいコミュニティであった、まちの成り立ちの背景と深く関わっていることなどがわかりました。一方で自殺率の高い地域は上記と正反対です。

また、海部町にはサロン機能を持つ場所、社交場所が多いこともサロン文化大学を運営する自分としては気になった要素のひとつです。例えば老人センターのマッサージ機のある部屋に行くと誰かいる、という話など。詳しくは読んでもらいたいので具体的な内容は端折ります。

読み終えて、岡山に住む天野さんとLINE通話でおしゃべりしました。

田舎暮らしの天野さんと都会暮らしの自分との地域性の大きな違い

そもそも天野さんと僕の住んでいる地域性があまりにも違うことを再確認しました。

天野さん @sunamn
岡山県本土と人口600人の島を行き来する生活

狩野哲也 @kanotetsuyajp
大阪と京都を行き来する生活

狩野はそもそも自宅周辺のまちの人とおしゃべりする機会の少ない都会的な環境です。一方で天野さんは子どもの頃から島の人と話をする環境で、ふたりは対極のまちで暮らしています。

また、天野さんの生まれた白石島にもサロン的な空間が日常の延長に存在するといいます。

一方で狩野は時々サロン的な空間をつくったとしても不定期で、参加する人にとっては非日常です。ゆるやかにつながる装置そのものが少ない。浮浪者対策などで、まちなかにゆったりできるスペースもない状況です。もちろんそれについて楽しいアクションをしている人たちもいるけれど、それは一握りなわけです。

投票行動を増やすために自分にできることは何か

これまで何度か投票行動につながらないかと、試してみたことがいくつかあります。

「大阪都構想って結局なんなん?」というお話会を開催。大阪都構想が良いか悪いかを決める会ではなく、知らないことを互いに補充する会をしました。

「大阪都構想って結局なんなん?」というお話会を開催しました
本日、「大阪都構想って結局なんなん?」というお話会を開催しました。うまくいったと思うので、取り組み方法を列挙しておこうと思います。取り組み方法・誰でも参加できるサロン文化大学の方法ではなく、主催者ふたりのどちらかと知り合いであることを参加ル

支持しない政党をなんやかんや言うものではなく、ただ「投票に行くよ」と身近な人に伝えるだけの静かな運動をちょいちょいおこなっています。

「投票に行くよ」と伝える、小さなムーブメント
テレビで選挙報道を見るより、身近な人が「投票に行くよ」「期日前投票に行ってきたよ」という情報を知るほうが「投票率があがるんじゃないか?」と思いまして、試しにfacebookでこんなイベントトピックをたててみました。

でもこういう企画は参加する人がもともとうっすら政治や選挙に関心のあった人たちが多く、そうじゃない人の投票行動に変化があったかというとそうでもないなあと思うのです。

本を読んで「何からはじめたらいんだろう?」と考えました。本の第5章の「明日から何ができるか」という項目の中で「いいとこ取り」からはじめることをすすめています。例えばどうせ自分なんてと言うのをやめる。

自分の場合は、どうしたら投票行動につながるか、と考えたプロセスそのものを発信しようと思います。病は市に出せの精神です。今書いているこれです。考えている途中の思考はどうしても冗長になってしまうけれど、どなたかから何かヒントがもらえるかもしれないと思って書いてみました。

また、天野さんとLINE通話しながら飛び火していく話が面白かったので、今後本を読んだり、何か興味深い出来事があれば、話した内容そのものをYouTubeやTwitterなどの配信ツールで放送したいと感じました。そうすればまちなかに生活の延長でサロン的空間がなくても、オンライン上にひとつのサロン的空間ができてゆるやかにつながるのでは、と思う次第です。忘れないうちに書き留めておきました。