さまざまなスペースに出張する文化講座です。
概要
サロン文化大学とは、フリーランスの編集者・ライターである狩野哲也が身の回りの面白い方をゲストにお呼びして、集まったみんなでお話を聞くトークイベントです。
最初はカフェやギャラリーを利用し、2009年頃から大阪・中崎町のマンションの居間(サロン)を活用しました。現在はいろんな場所からご要望いただいて出張するようになり、流浪のトークイベントとなりました。思い思いの方法で楽しんでいただければと思います。
狩野哲也
背景
サロン文化大学を開催する背景は、雑誌編集者のジレンマ。
狩野は1998年10月から雑誌編集部で働き、しごと情報誌に携わっていました。メインの記事コンテンツは求人情報ですが、街ネタや有名人のインタビュー、読者のおたよりページなど、楽しく読んでもらうコラムページも充実していました。
一方その頃の世の中はインターネットの波が押し寄せてきて、雑誌全般が右肩下がりの売れ行きでした。メインクライアントは別の企業に買収されて、お世話になった人たちはどんどんリストラされていきました。
メディアはコンテンツとコミュニティの両輪で支えられていると狩野は考えていますが、コミュニティの部分である、読者とのおたよりコーナーはなくなり、コンテンツも売り上げが見込めるクライアントが中心の求人情報にシフトしました。その結果、面白い人にインタビューするページもなくなり、焦燥感を感じていました。
その後、大阪・中崎町に引っ越しした2004年頃、仲良くなったcommon cafeのオーナー山納洋さんからいろんな職業の方をゲストに呼んで話を聞く「workstylecafe」というトークイベントのゲストに雑誌編集者として呼んでいただき、お話ししました。自分の話に耳を傾けてくれる人がたくさんいて面白かったですが、そのシリーズは数回で終わりました。
「このシリーズが面白かったので、僕が主催者として何かやってみていいですか?」「どうぞどうぞ」と言ってはじまったのが「働き方について考えるトークサロン」のシリーズです。
興味深い働き方をしている人をゲストに呼んで話を聞くトークサロンですが、普段、雑誌をつくるプロセスのインタビューの部分だけを切り取って、みんなに聞いてらっている状態が面白いと感じました。インタビューのアウトプット先である雑誌がないなら、自分でつくってしまえばいいとつくったのが働き方について考えるトークサロンのシリーズです。
その後、「働き方」だけでなく、さまざまな知りたいことをまるで雑誌のように集めてトークイベントの集合体にしているのがサロン文化大学です。自分が面白いと感じたものをかたちにしてみる小さな実験にどうぞおつきあいください。
なぜサロン文化なのか。
狩野は学生時代に西洋史学を専攻し、中世から19世紀末までのウィーンの都市問題をテーマにしていました。そのヨーロッパの歴史の中で「サロン文化」という言葉が登場します。
Wikipediaによれば、17世紀はじめごろに宮廷や貴族の邸宅を舞台にした社交界をサロンと呼び、主人が文化人、学者、作家らを招いて、知的な会話を楽しむ場だったとか。文化はサロンから生まれているという印象がありました。
そういえば、新島襄さんがつくった同志社英学校(のちの同志社大学)も最初は京都の自宅の一室(サロン)からはじめたものなので、僕も試しにつくってみたのがサロン文化大学です。
サロン文化大学の方向性
基本的に狩野哲也がひとりで企画します。テレビのように、あらゆる世代が望むような企画を目指してしまうと、本当の大学と変わらなくなってしまうので、あえて狩野が興味あることだけ、という基準にしました。
雑誌のイメージでいえばマガジンハウス社のBRUTUS(ブルータス)。「編集者がこれ面白いと思うんだけどどう?」と世の中に問うような方向で運営しています。