歴史を語る語り口を語る

以下は、やまのうさんの日記からの抜粋です。
次のサロンの参考にしてください。

原研哉・阿部雅世対談「なぜデザインなのか。」に
歴史を学ぶことについて言及したくだりがあります。

阿部 ところで、原さんは、集中力がすごそうですね。こうしてお話ししている間も、時々、くくっと自分の世界に入っちゃう。

原 入るときはね。でも最近気づいたんですけど、あることをずうっと考え続けているうちに、一気に分かる時が来る。過冷却って現象があるでしょう。零度以下になっても水が凍らなくてマイナス何度かの水として持続する状態。それが音とか、何か物理的な衝撃を受けた拍子にバシッと一気に凍っちゃうという現象です。何かがわかるというのも、これに似ていると思うんです。

西洋の歴史とか、日本の歴史とか、茶の湯の系譜とか、デザインの歴史とか。昔から歴史の授業は嫌いだったんですが、最近は少し変わってきた。歴史を読んだり聞いたりして辿っていくうちに、何かの仕組みというか道筋がびしっとした過冷却現象みたいに見える時があって、そうするともう忘れませんね。「わかる」ということが頭の中で一回成立するとね。

阿部 疑問の形にすらなっていない小さな「?」が、蓄積されて満期になると、ある時突然・・・

原 そうそう、だんだんわかるのではなく、わかる時は一気にわかる。

臨界点に至るまでに一定の蓄積が必要で、
その先に一気に愉楽に辿り着く類のものは、
そこに到達した人とまだの人とで
「好き/嫌い」が峻別される傾向にあります。

歴史も確かに、そういうものですね。

さて、来る11/17(火)に、中崎町サロン文化大学にて
「荒野をゆく vol.2 歴史を語る語り口を語る」をやります。
http://nakazakicho-u.blogspot.com/2009/10/091117vol2.html

今回は、以下の書籍から歴史について語る語り口を
サンプリングして、物語としての、愉楽としての歴史を
考える視座を提示してみます。

 河合敦「目からウロコの日本史」PHP文庫 
 小和田哲男「この一冊で日本の歴史がわかる」三笠書房 
 小林秀雄「考えるヒント」文春文庫 
 網野善彦「日本とは何か」講談社学術文庫 
 松岡正剛「日本という方法 〜おもかげ・うつろいの文化〜」NHKブックス 
 内田樹「街場の中国論」ミシマ社
 司馬遼太郎「街道をゆく3 肥薩のみち」朝日文芸文庫 
 原研哉・阿部雅世対談「なぜデザインなのか。」平凡社

そんなことに興味がありましたら、お越しください。

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