捨てられる大量の農産物 興居島(ごごしま)いよかん救出。


もったいない…! という気持ちが動に動かされた。ふつう、皮の色のわるいものは捨てられる。しかし、食べてみてわかったことは皮のきれいな物となんらかわりなくおいしい。畑でもいで食べたときも、お義父さんが皮のきたないのを捨てようとしてるのをおいしいから捨てるのがもったいないと思って持って帰ってきたのだった。

夫のお義父さんは愛媛県の瀬戸内海に浮かぶ島、『ごごしま』の出身。ごごしまにはお義父さんのいよかん畑がある。残念ながら生まれた家は学校のプールになり、いまはもうない。その学校も、島のこどもの数が減ってしまい、3年前に統合され今はつかわれていない。人口は1200人ほど。海風のあたる斜面で柑橘がよく育ち、みかんやいよかんは、「ごごしまブランド」として知られる。

そして、あまり知られていないが、愛媛の発祥の地という説もある浪漫のあふれる島でもある。松山市の高浜港から船でたった10分。町のすぐそばにある島。漢字で興居島と書く。


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美しい瀬戸内海にかこまれた小さな島だ。1時間もあれば自転車で島の周囲をぐるりと廻れる。その道は、なんとお義父さんのおじいさん(つまり夫の曾おじいさん)がつくったんだそうだ。

小さいけれど素敵な島で、富士山の形をした伊予小富士・通称小富士山(こふじさん)と呼ばれる山がある。釣り人に人気の島でもある。11月に早摘みのいよかんを収穫しに、ごごしまへいったとき、畑のそばに住んでいるおばあさんが、わたしたちの様子をみて、「こんな早い時期にいよかんつんで、どうするん??」と言ってきた。

生産者のひとの間では、非常識らしい。

きっと、そのおばあさんは、早い時期のいよかんを摘んで食べたことがないのだろう。と、おとうさんは言っていた。そうか… 昔は、この時期にはこの作業と決められていて、一斉にヘリコプターから農薬が撒かれていたのだ。

自分で考え、無農薬でつくれば、村八分にあったと、自然農の川口由一さんやりんごの自然栽培の木村秋則さんも言っていたな。

彼らの地道な努力、そしてなににも負けず成功した実績があってこそ、いま、こうして様々な技術が伝わり、無農薬栽培にとりくむ人が増えてきたのだ。

お金もうけになるから。という理由で無農薬栽培に切り替えた人、やり始めた人もいるかもしれない。だけど、純粋な気持ちがないと、無農薬なんてとても続かないということが、実践されてる農家さんをみればわかる。

世の中の役にたつこと、それが本当の仕事だ。

いよかんの選別をしていて、皮のきたないのを、販売して大丈夫かな??とやっぱり少し不安になって、改めて味見してみて、やっぱりおいしい。間違いない、と確認して、ふと思いがよぎった。

島でも、愛媛県中どこもかしこも、かんきつをつくっている。しかしその半分以上は、捨てられているのが現状だといえる。

みてくれの悪いものは、売れない…。実際、皮がざらざらしたいよかんなんて、みたことなかったから、畑でもいで食べてみて、おいしくって、驚いたのだ。

大阪のコモンカフェで、料理を出していたときは、もっと安くオーガニックの食材が手にはいらないかな?と思ってた。でも、安い…とか高い…とか、食はお金の価値でははかれないものだと、野菜作りを実際やってみて、「価値」について考えさせられる。手塩にかけて育てた農産物を、お金で・安く・取引されるのは、身が裂かれるほどつらい。そんな気がする。

大量に捨てられる農産物が、山に住む獣を里に呼びあつめてしまって、畑が荒らされているという現状もある。ごごしまは、猪などの獣がいないので、獣害はないが、さらに沖へいった、瀬戸内海の中島は、本州から、猪が餌を求めて泳いできたのだ。食べ物を捨てることは、知らなかったとは結果論、やっぱりいけないことなのだ。

捨てられるはずの、いよかんたちを救いたくて、大阪へ出張料理に出かけたときに、お世話になっていた自然食品店に味見用にと、持っていった。

おそるおそる「早摘みなので、すこし、すっぱいかもしれません。」と言うと、「季節のその時期にしか味わえないっものだから」と快く販売してくださることに。そして、いよかんの出荷がフライングして始まった。

配達料がかからなければ、もっと安く、親しいひとには、贈り物として、手元にお届けできるのに…そう思って、必死で少しでも安く送れる会社を探していた。

でも、今日もこの寒い中、松山郊外の東温市、しかも山の上まで、荷物をとりにきてくれた福山通運のお兄さん。心のこもった対応に自分の間違えに気づいた。

運んでくれるひとがいるから、遠くの友人に、また無農薬の食をもとめる子育て中のお母さんに、届けることができる。

お金をいただくこと、また自分が支払うとき、そこには仕事の価値がある。ああ、こうやって、いよかんひとつとっても見えてくることがたくさんある。たくさんの人のつながりのなかで、生きている。生かせてもらっているんだな~。と。

上田のお義父さんのオイシイいよかん、食べたひとに・おいしい・という幸せをお届けする。これがいまの時期の今日のわたしの仕事になっている。

興味があったら覗いてください。

”ごごしまの無農薬・自然栽培のいよかん”

<大阪で売っているお店>

自然館
ナチュラル&スローでいこう|上田孝治さんの無農薬「伊予柑」が入荷!~new new new~

根っこや
http://nekkoya.eco.coocan.jp/

通販は直接メールをください。

書いている人:
瓜生良江 料理人 料理のモットーは「家で外ご飯、外で家ご飯」。一人暮らしや単身赴任の方など、外食が続くとどうしても身体に負担がかかるので、外食なのに家ごはんのような料理をお店では提供できたらなあと思っています。マクロビオティック、家庭料理を通して料理と心の関係について学んでいます。また、直接農家に足を運び、畑仕事を手伝いながら、おいしい野菜の選び方や食材の調理法を学んでいます。

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