産地づくりは一般化できるのか?


「農」の事業計画

最近、白石島の野菜の生産計画の試算ばかりしている。品目ごとに、10aあたりの収穫量を調べ、市場価格を調査して、年間の収益を予測する。種代、肥料代などの経費を引けば粗利がわかる。

地域の営農指導センターへ行けば、様々な資料を閲覧できるし、質問にも答えてもらえる。またネットの中には様々な研究機関が開発した多収化、省力化を目指した栽培方法に関する論文もある。すでに公開されている情報は役にも立つだろうし、その分量も圧倒的に多い。やらなくていいこと、やってはいけないことの情報蓄積は、昔に比べると格段にやりやすくなっているはずだ。きっかり売れるなら、十分仕事にできそうな計画を立てるのは難しくない。そう、きっかり売れるなら。

名産地はどうやってできていたのか?

とある人と話していて「名産地はどうやって作られてきたのか?」という話題になった。かつては農協、営農指導普及センター、行政あたりに「やる気のある人達」がおり、プロジェクトがスタートすると営農指導普及センターが技術を農家に提供し、農協が販路と物流を、行政が資金調達をと、確かな実力と役割分担をしていたそうだ。そして、質、量ともに高い農産物を作り「名産地」になっていったのではないか。

現在でも、それらがきちんと機能している地域もある。しかし、かなり数の組織、人間が関わりそれを達成しないといけないため、どこかが一つでも欠けると途端に機能不全になる。

機能不全になった後も、それぞれ単体では改善不可能なのでズルズルと衰退していくだけなんだろうか。また何かの切っ掛けで元に戻るのか。インセンティブの面を考えると、なにもしないのが一番効率が良いとか。そんな話になってしまうのだろうか。

そうは言っても、地域が衰退していくのを横目で見ながら「あいつらが仕事をしないからだ」とボヤいていても始まらない。では、こうした「名産地づくり」を一般化することは果たして可能だろうか? 商品力、物量、品質、販路開拓、物流と、これらを全て統合し管理するような企画運営能力が必要になる。これはとても大変そうだ。

なぜ名産地づくりが必要か?

産地、ブランドとして確立すると、市場に対する価格交渉が楽になる。新規参入者でも同じ地域で、技術提供を受けて一定品質のものを作れれば、その恩恵を受けられるので、仕事として確立させやすい。きっかり売って、色んな人が参加できる仕組みをつくるためにも「名産地」として認知されるメリットは大きい。

しかし、ホントに達成可能なのかねぇ。

書き手:

天野直 瀬戸内海の白石島(人口六百数十人の逆境集落)で仕事してます。 主に桟橋を管理しながら生きています。最近は野菜の仲買なども。

Twitter: sunamn
web:白石島廻漕店